長野県と新潟県にまたがって広がる「信越自然郷」は、国内でも有数の豪雪地帯。雪は山々を白く覆いつくし、山麓の里も一面銀世界になるこの地域は、昔から雪とともに生活をすることが日常だった。それゆえ、豪雪や厳しい寒暖差と折り合いをつけながら、自然と寄り添い多彩な文化を創り上げてきた。
この地域は、古くからスキーが根付いている。飯山、野沢温泉では日本にスキーが伝わったとされる1911 年の翌年に滑走記述が残っており、志賀高原や妙高・赤倉は1937 年に瀟洒なホテルが建てられていることから、スキーリゾートとしての歴史も深い。また、1998 年には志賀高原や野沢温泉が舞台になった長野五輪が行われ、その名は世界中に広まった。
「信越自然郷」内にあるスキー場は、北陸新幹線・飯山駅を中心に半径20km 圏内に、大小あわせて38 もある。このような場所は国内では他に類を見ない。ここでは、国内屈指の規模と歴史を誇る「信越自然郷」のスキーエリアを、志賀高原、野沢温泉、妙高・赤倉、斑尾・黒姫・飯綱、栄村・戸狩・木島平の5つのエリアに分けて紹介していこう。
※信越自然郷内の公共交通機関はGoogleマップで経路検索可能です
JR飯山駅を中心に各スキー場へバス等の2次交通が集まるハブステーションとして機能しており利便性に優れている。飯山駅観光交流センターでは、観光情報の収集や宿泊、各種アクティビティ体験やツアー手配までワンストップで行える。信越自然郷を満喫するならまずここを訪れよう。
信越自然郷エリアで使える共通クーポン。各スキー場のチケットセンターでリフト券と交換できるクーポンが、5枚綴りのセットになったもの。スキー場ごとに様々な特典がついている。使い方は自由。ひとりで5ヵ所を巡るのもよし、仲間と使うのもいい。もし、クーポンを使い切れなかったとしても、スキーシーズン終了後に信越自然郷の9市町村の特産品と交換できるというユニークな仕組みもある。
1937年にはスキー専用ホテルが建てられ、その10 年後には国内初となるリフトが架かるなどスキーとの歴史が深い志賀高原。1956 年に行われたコルチナ・ダンペッツオ冬季五輪のスキー男子回転で、銀メダルを獲得している猪谷千春氏が、幼少期からスキー技術を磨いたのがこの場所だ。上信越高原国立公園内にあり標高2000m を超えるスキー場群は、11月から滑走可能で、スキー場営業期間の長さや良質な雪質、眺望の良さがポイント。麓に下りれば歴史ある温泉街が賑わっている。
1350 年前に温泉が見つかって以来、多くの人々を癒やしてきた歴史ある温泉街。地表近くに源泉があるため、街のあちこちから温泉が湧き出している。宿泊施設も多く、ホテルや小規模な旅館など多彩だ。
いまや世界でもっとも有名なサルといっても過言ではない「スノーモンキー」。最低気温はマイナス10℃を下回る、雪に覆われた横湯川の渓谷にあるサル温泉で温まるサルたちの様子はここでしか見られない。
長野県の最北端に位置し、温泉とスキーで栄えてきた野沢温泉村。アルペンスキーの聖地として古くから村全体で競技に取り組み、多くの国際大会や五輪出場選手を輩出している地である。歴史ある温泉街の景観はそのまま残り、国内でも稀有なスキーと温泉街が密接に結びついた場所になっている。ここ数年は勇壮な道祖神祭りを観に来る国内外の旅行者も増加中だ。
温泉街に点在する13の外湯は村人が日常的に利用しており、生活に密着した共有財産だ。天然温泉100% のかけ流しは、湯の温度も高く体を芯から温める。温泉を利用した野沢菜洗いは初冬の風物詩だ。
毎年1月15日に行われる国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統の祭り。子どもの成長や子宝を祈願する道祖神にちなんだ民俗行事だ。燃えさかる炎の様子から日本三大火祭りのひとつに数えられる。
妙高・赤倉は三方を山に囲まれた日本を代表する豪雪地帯。この地域のシンボルでもある日本百名山・妙高山の東面にはスキー場が連なり、麓には7つの名湯が点在している。米どころとあって、日本酒造りも盛ん。日本海も近いことから、新鮮な海産物も多く届き、食文化も豊か。宿泊施設は老舗温泉旅館をはじめ、由緒正しいホテル、ペンションや民宿などバラエティに富んでいるのも魅力。スキー場、温泉、食、宿泊の選択肢が多いのも妙高・赤倉の特徴だ。
200年の歴史をもち、文化人から愛された名湯。妙高山より引湯している源泉は、源泉からの距離、適度な勾配によって、施設内の浴槽を満たすと42℃前後になり、もっとも心地よい湯加減になる。
“かんずり”は妙高市特産の香辛料。秋に塩漬けた唐辛子を大寒の日から雪上に3~4日さらし、柚子や糀などと合わせて3 年の月日をかけ熟成・発酵させる。妙高周辺では食卓に欠かせない郷土の味。
標高1200m ほどの飯山周辺の山々は、日本海から吹き付ける冬の湿った風をまともに受ける一帯であり、その里になる飯山市も有数の豪雪地帯になる。飯山城址を中心とした城下町は多くの寺社と共に古い町並みが残されており、雪国の小京都とも呼ばれている。また、その周辺には自然豊かな山野が広がり、日本の原風景と言える景観だ。北陸新幹線が延伸し、飯山は志賀高原、野沢温泉、妙高・赤倉へのアクセスの玄関口、どこへでも足を運びやすい位置関係にある。
飯山の冬の名物といえばバナナボート。昭和30年代よりスキー客への最高級のおもてなしとして発祥。焼いたスポンジに生クリームなどを塗り、バナナを乗せて挟んだスイーツ。飯山市内の11カ所の和菓子屋の店先に、冬だけ並ぶ季節物。この冬は、スキーのお供にバナナボート!
江戸時代から作られている和紙。1月~2月にこうぞの皮を雪の上に並べる”雪晒”と呼ばれる技法によって、白くて丈夫で光をよく通すため障子紙として重宝されている。紙すき体験もできる。
斑尾山・妙高山・黒姫山・戸隠山・飯綱山の五岳に囲まれ豊かな森を育むエリア。静かな雪の森は自分自身と向き合い、深いリラックスを感じることができる特別な場所。かるくドライな雪質と北信五岳のパノラマを眺めながらファミリーでも安心して過ごせ人気がある。
北信五岳の豊富な雪解け水をたたえ、高い透明度を誇り、スキー場からみる野尻湖は一見の価値あり。夏はカヌー、SUPや釣りなどのウォーターアクティビティのメッカ、冬は屋形船でのわかさぎ釣りも楽しめる。
黒姫山のすそ野に開設されるクロスカントリースキーコース。大会の開催やオリンピアンも輩出された本格的なコース。整備、レンタルも充実しており初めてでも楽しめる。軽快に丘陵や森を滑ればさらにスキーの魅力を感じることができる。