いいやま里山グラベルルート

飯山駅前を出発、のんびりと足慣らしをしながら舗装路と未舗装路をつなぎ、日本最長河川「千曲川」沿いの堤防グラベルへ。左手にはエリアのシンボルマウンテンともいうべき独立峰高社山（こうしゃさん）、右手にはとんぼが飛び交う田んぼが広がるゆったりとしたロケーション。新幹線の停車駅からわずか３ｋｍで、このグラベルに出会うことができます。しばらく走ると、千曲川にかかる橋を渡って反対側へ。りんご畑に延びる旧街道を進んでいきます。田んぼや畑で作業をされている方に出会うことがあるかもしれません。そんな時は「こんにちは」と一声かけて通行すれば、ライドがさらに気持ちよくなるでしょう。

千曲川沿いから集落へ下りると、ルート前半のハイライトともいうべき、山裾の水路に沿って延びるグラベルが登場。砂利道あり、苔むしたコンクリートあり、木漏れ日が美しいローケーションはもちろん、移り変わるそのサーフェス（路面状況）を楽しむことができます。ここを流れる水、夏は農業用水として、冬は消雪用の水として地域の生活を支えています。もちろん、暑い時期に走る私たちに涼を届けてくれる存在としても。走りながらその地域の風土に触れることができるのも、魅力の一つです。

水路沿いのグラベルを抜けたあとは、開けた田んぼの中を走っていきます。このルートで通る飯山市と木島平村を含むエリアは、知る人ぞ知る米どころとして食通をうならせてきました。５月の田植えに始まり、９月から１０月にかけての稲刈りまで、移りかわる田んぼの風景は私たちサイクリストにとっても非常に魅力的です。同じルートを通っても、時期によって全く異なる田園風景を楽しむことができるのはもちろん、田んぼの匂いや聞こえてくる生き物の声など、五感を働かせながら走る楽しさが隠れています。もちろん、食べておいしいのは言うまでもありません。

田園風景のグラベルライドをたっぷり楽しみ、飯山駅へ戻ります。ここは「愛宕町雁木（がんぎ）通り」と呼ばれ、隣の家と軒を連ねる雁木によって冬の通路を確保する、雪国の知恵を見ることができます。このルート、舗装路も単なるつなぎではありません。旧街道や季節のお花、高台からの見晴らしなど、グラベル率を上げることだけにこだわらないからこその楽しみも含め、一本のルートで描かれる物語、それが里山グラベルです。